ぜんぶ欲しくてたまらない。
「待って、航大くんっ!」
行こうとする俺を梨里愛が引き止める。
「……離して、梨里愛」
「嫌っ!航大くんだけなの!梨里愛のことバカにしないでいてくれたの……航大くんは冷たいし、梨里愛に全然振り向いてくれないけど、ずっと優しかった」
梨里愛はクラスで目立つ存在だった。
この性格から確かに異性には好かれていたけど、同性の友達と仲良くしていたところは見たことがない。
彼氏も取っかえ引っ変えで、一緒にいてくれる人なら誰でもいい。
梨里愛が今までどんな生活をしてきたのかは知らない。
でも一度、梨里愛に俺たちは似た者同士だと言われたことがある。
俺の2年間を知る梨里愛がそう言ったなら同じ経験をしたんだろうか?
確かにあの頃の俺は梨里愛に自分を重ねていたかもしれない。
だからこそ、梨里愛はそう感じたんだろう。
「早く離して」
「ねぇ、梨里愛と一緒にいてよ!芽依ちゃんに本当のこと話していいの!?あんな航大くんのこと知ったら嫌われちゃうかもしれないよ?」
そうだ、それが怖くて俺は隠している。
でも……
「勝手にして」
「……航大くんっ」