ぜんぶ欲しくてたまらない。
「今、俺には愛している人がいる。航大には悪いがお前とは離婚したい」
「……っ!」
「なっ……」
母さんは言葉が出ず、口を両手で抑えたまま膝から崩れ落ちた。
完全に愛していた相手から見捨てられた瞬間だった。
まさか、この話を切り出すことで離婚にまで話が発展するとは思ってなかったんだ。
何も言わなければ母さんは父さんと一緒に居られたかもしれない。
上手くやれば離婚しない道もあったかもしれない。
俺は涙をこぼす母さんを見て、自分を責めた。
でも、それ以上に父さんに怒りを覚えた。
俺には悪いと思ってる?
母さんには?
もう他に好きな人ができたから用はないって?
……はっ、笑わせんな。
この瞬間、全てがどうでもよくなった。
母さんはやっぱり考え直して欲しいのか、毎日父さんに説得をしていた。
暴力は無いものの、言い合いが続く日々。
だんだんとその空間にいるのが嫌になり、適当な友達と遊ぶようになった。
帰りたくない日は夜な夜な遊び歩く日もあった。
俺は荒れていた。