ぜんぶ欲しくてたまらない。
「ねぇ航大くん!梨里愛と遊ばない?」
「うん、いいよ」
梨里愛とよく絡むようになったのはちょうどその頃。
「航大くんって今彼女いるの?」
「いない」
「じゃあ梨里愛と付き合わない?」
「いいよ」
好き?嫌い?
そんなのどうでもいい。
俺の気を紛らわせてくれる奴なら誰でもよかった。
「航大くんって最近いろんな女の子と遊んでたよね?」
「……さぁ?勝手に近づいてきただけ」
いつ誰が流したんだろう。
俺を誘えば遊んでくれる。
告白すれば必ずOKをもらえる。
よくわからない噂がいつの間にか流れていた。
梨里愛もそんな噂を聞き付けて俺のところへ来たんだろう。
梨里愛は俺に深入りして来なかった。
他の奴が俺についていろいろ調べて噂したことを全て知っていたんだろう。
俺の父親が浮気して、離婚して、今は片親だということも。
なにも触れて来なかったからこそ、一緒にいて居心地が良かった。