ふたりぐらし -マトリカリア 305号室-
——まただ……。
はあ、と短くため息をついた。
最近、気づいたら愛花に触れている。
想いを告げられたあの日を境に、歯止めが効かなくなってきてしまった。
ギリギリのところでとどまれている今の状態が、いつまで続くかわからないのに……頭ではわかっているのに、無意識のうちに手が伸びている。
その度に我慢するのは苦しいけれど、愛花から返ってくる反応が、可愛くて、心地よくて仕方がない。
……やっぱり、前までの、妹だと言い聞かせていた予防線は、俺の中でかなりの効果を発揮していたらしい。
それがなくなった今、まるで、禁断の果実の味を知ってしまったように、もっと、もっと……と、欲は増していくばかりだ。
——この拷問のような状態は、いったいいつまで続くんだろう。
いつまで我慢し続ければいいのだろう。
病院で眠り続けている結花は、いつ目を覚ましてくれるのだろう。
そもそも、目を覚ましてくれる日は、訪れるのか……。