転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
つらつらと語られた過去の自分の行動に若干バツの悪さを覚え、無言のままグラスに口をつける。
そんな彼の様子を正面からじっと眺めていたレイラが、ふと笑みを浮かべた。
「まあ、別にいいけど。“ソレ”の相手、本当に愛してるわけじゃないんでしょう?」
「は、」
聞こえたセリフの意味が本気でわからなくて、思わず間抜けな声を漏らしていた。
春人の反応を気にもとめず、レイラは美しく微笑んだまま続ける。
「わかるわよ、私には。あなたにとっての奥さんは、性欲処理もできる家政婦みたいなものなんでしょ」
「……何を」
「けど、身体の方なら──私だって、相手はできるんだけど?」
テーブルの上に置いていた左手に、少しひんやりとした手のひらがするりと重なった。
反射的に全身がこわばり、口を開こうとした瞬間。
「おーっす待たせたなぁ~」
背後の引き戸が開かれるとともに、そんなのんきな声が聞こえた。春人の心臓をひりつかせた冷たくて白い手が、音もなく離れる。
「じゃあ今度は、私がお花を摘みに行ってこようかしら」
「おっレイラ、よくそんな日本語知ってたな」
「馬鹿にしてる?」
春人の隣に腰を下ろした仁と入れ替わりで、レイラが小ぶりなショルダーバッグを手に席を立った。
軽口を叩くふたりに加わることもなく、春人はただ無言でグラスの中身を呷る。
そんな彼を意味ありげに流し見ながら、レイラは個室を出て行った。
そんな彼の様子を正面からじっと眺めていたレイラが、ふと笑みを浮かべた。
「まあ、別にいいけど。“ソレ”の相手、本当に愛してるわけじゃないんでしょう?」
「は、」
聞こえたセリフの意味が本気でわからなくて、思わず間抜けな声を漏らしていた。
春人の反応を気にもとめず、レイラは美しく微笑んだまま続ける。
「わかるわよ、私には。あなたにとっての奥さんは、性欲処理もできる家政婦みたいなものなんでしょ」
「……何を」
「けど、身体の方なら──私だって、相手はできるんだけど?」
テーブルの上に置いていた左手に、少しひんやりとした手のひらがするりと重なった。
反射的に全身がこわばり、口を開こうとした瞬間。
「おーっす待たせたなぁ~」
背後の引き戸が開かれるとともに、そんなのんきな声が聞こえた。春人の心臓をひりつかせた冷たくて白い手が、音もなく離れる。
「じゃあ今度は、私がお花を摘みに行ってこようかしら」
「おっレイラ、よくそんな日本語知ってたな」
「馬鹿にしてる?」
春人の隣に腰を下ろした仁と入れ替わりで、レイラが小ぶりなショルダーバッグを手に席を立った。
軽口を叩くふたりに加わることもなく、春人はただ無言でグラスの中身を呷る。
そんな彼を意味ありげに流し見ながら、レイラは個室を出て行った。