転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
というわけで、食事に関しては調理全般を結乃が請け負い、春人は食器を並べたり洗い物を引き受けるなど、ここも上手い落としどころを見つけて互いを思いやりながら、穏やかに楽しく過ごしていた。
「でも、結婚のことを報告されたときは驚いたわ。今まで白川先生の……あらごめんなさい、黒須先生の色っぽい話、聞いたことなかったから」
イタズラっぽく口もとをほころばせてそんなことを言った土屋に、結乃はまた苦く笑って頬をかく。
「あはは……その節はご迷惑をおかけしてすみませんでした」
「迷惑だなんてことはないわよ。まあ、黒須先生も異動と重ならなくてよかったわよね」
「そうですね。ちょうど新年度が始まる頃で、児童たちに新しい名前を伝えるタイミング的にも都合がよかったですし」
結乃は新卒で赴任した小学校で5年勤め、その後異動したこの学校は2年目になる。
なので基本的にはしばらく異動はない予定だが、もし異動対象だった場合もっとバタバタしてしまっていたはずだ。
職業柄、結乃が行う事務上のあらゆることが公務、公簿となるため、記入する氏名は戸籍上のものでなければならない。
そんなわけで結乃は同僚たちや自分が手っ取り早く気を遣わず済むよう、旧姓を通すことはせず職場では入籍と同時に新姓を使うことにした。
ただでさえ忙しい年度末に結婚にまつわる書類を頼むのは気が引けたが、事務員の女性も結乃の入籍を手放しで祝福してくれ、とてもうれしかったのを覚えている。
「でも、結婚のことを報告されたときは驚いたわ。今まで白川先生の……あらごめんなさい、黒須先生の色っぽい話、聞いたことなかったから」
イタズラっぽく口もとをほころばせてそんなことを言った土屋に、結乃はまた苦く笑って頬をかく。
「あはは……その節はご迷惑をおかけしてすみませんでした」
「迷惑だなんてことはないわよ。まあ、黒須先生も異動と重ならなくてよかったわよね」
「そうですね。ちょうど新年度が始まる頃で、児童たちに新しい名前を伝えるタイミング的にも都合がよかったですし」
結乃は新卒で赴任した小学校で5年勤め、その後異動したこの学校は2年目になる。
なので基本的にはしばらく異動はない予定だが、もし異動対象だった場合もっとバタバタしてしまっていたはずだ。
職業柄、結乃が行う事務上のあらゆることが公務、公簿となるため、記入する氏名は戸籍上のものでなければならない。
そんなわけで結乃は同僚たちや自分が手っ取り早く気を遣わず済むよう、旧姓を通すことはせず職場では入籍と同時に新姓を使うことにした。
ただでさえ忙しい年度末に結婚にまつわる書類を頼むのは気が引けたが、事務員の女性も結乃の入籍を手放しで祝福してくれ、とてもうれしかったのを覚えている。