転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
一見完璧なようで実は不器用な彼を、この先もずっと支えていきたい。
春人と出会って以降、自分の中に生まれる様々な感情に戸惑いながら、けれど結乃は逆らうことなくそれを受け入れている。
(もう、充分なのかも……)
なんだかんだと意地を張ってここまで来たが、結局のところあまり深く考えることはなかったのかもしれない。
結乃はすでに知っている。自分の夫は外見が整っているだけじゃなくて、ちょっとわかりにくいところはあるけれど心根の優しい素敵な男性だと。
それで、いいじゃないか。すべてを捧げる理由なんて、それだけで充分じゃないか。
「結乃? どうかしたか?」
無意識にうつむいて皿を見つめる結乃へ、春人が不思議そうに声をかけた。
ハッと顔を上げ、身体の火照りを自覚しながら慌てて首を横に振る。
「ううん。なんでもないです」
「そうか。……それで、土曜日だが……ちょうどそのあたりで結婚指輪が出来上がるらしいから、まずは店に取りに行こうと思う」
「あ、そうなんですね。わかりました」
春人の言葉に結乃がコクンとうなずくと、彼はさらに続けた。
「あとは、結乃の望むように。どこか行きたい場所や、やりたいことはあるか?」
「え?! えっと……」
突然希望を聞かれ驚きながら、なんとかひねり出すべく顎に手をあてる。
それを見た春人が「特になければ俺の方で決めてもいいが」と言ってくれたけれど、ピンと閃いて声を上げた。
「あ! あります、行きたいところ!」
やけに前のめりな結乃の様子に、若干気圧されつつも「どこだ?」と問いかける。
そんな春人をなぜかじっと見つめたかと思うと、彼女は先ほどまでの戸惑いが嘘のように、ニッコリ楽しげな笑みを浮かべたのだった。
春人と出会って以降、自分の中に生まれる様々な感情に戸惑いながら、けれど結乃は逆らうことなくそれを受け入れている。
(もう、充分なのかも……)
なんだかんだと意地を張ってここまで来たが、結局のところあまり深く考えることはなかったのかもしれない。
結乃はすでに知っている。自分の夫は外見が整っているだけじゃなくて、ちょっとわかりにくいところはあるけれど心根の優しい素敵な男性だと。
それで、いいじゃないか。すべてを捧げる理由なんて、それだけで充分じゃないか。
「結乃? どうかしたか?」
無意識にうつむいて皿を見つめる結乃へ、春人が不思議そうに声をかけた。
ハッと顔を上げ、身体の火照りを自覚しながら慌てて首を横に振る。
「ううん。なんでもないです」
「そうか。……それで、土曜日だが……ちょうどそのあたりで結婚指輪が出来上がるらしいから、まずは店に取りに行こうと思う」
「あ、そうなんですね。わかりました」
春人の言葉に結乃がコクンとうなずくと、彼はさらに続けた。
「あとは、結乃の望むように。どこか行きたい場所や、やりたいことはあるか?」
「え?! えっと……」
突然希望を聞かれ驚きながら、なんとかひねり出すべく顎に手をあてる。
それを見た春人が「特になければ俺の方で決めてもいいが」と言ってくれたけれど、ピンと閃いて声を上げた。
「あ! あります、行きたいところ!」
やけに前のめりな結乃の様子に、若干気圧されつつも「どこだ?」と問いかける。
そんな春人をなぜかじっと見つめたかと思うと、彼女は先ほどまでの戸惑いが嘘のように、ニッコリ楽しげな笑みを浮かべたのだった。