転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
(考えてみれば、前世でも今も、こんなに特別な人とかかわれることは奇跡だ……)
こんなことを思う自分は、一体どんな顔をしているのか。
すぐ左横に見えるサイドミラーをチラリと確認すると、そこには今にも泣き出しそうな情けない表情の女がいた。
結乃は慌てて、両手で頬を覆う。
(やだ、こんな顔、してるなんて)
前世の結乃は、彼と自分の容姿を比べてここまで落ち込むことはなかった。
けれど今。こんなにも、違いを気にしてしまうのは──?
「結乃。あと5分くらいで着く」
かけられた声にハッとして、反射的に首をめぐらす。
ちょうど、赤信号で車は停まっていた。運転席の春人が、ハンドルに軽く両腕を預けながらこちらに顔を向けている。
……見られていた。
そう思うと、じわりと顔に熱が集まって、彼と目を合わせていられなくなる。
恥ずかしい。いい大人が、こんなことで動揺するなんて。
「そうですか。楽しみです」
こっそりと小さく息を吐いてから、笑顔を作って春人へと向けた。
ハンドルに置かれた彼の左手の薬指には、真新しいリング。結乃の同じ手につけているものと対になっているそれは、自分たちが夫婦であることの証だ。
それを見つけた瞬間、さっきまで胸の中に燻っていたモヤがなぜか急に晴れて、心が軽くなった気がした。
その理由に、彼女はまだ気づかない。
こんなことを思う自分は、一体どんな顔をしているのか。
すぐ左横に見えるサイドミラーをチラリと確認すると、そこには今にも泣き出しそうな情けない表情の女がいた。
結乃は慌てて、両手で頬を覆う。
(やだ、こんな顔、してるなんて)
前世の結乃は、彼と自分の容姿を比べてここまで落ち込むことはなかった。
けれど今。こんなにも、違いを気にしてしまうのは──?
「結乃。あと5分くらいで着く」
かけられた声にハッとして、反射的に首をめぐらす。
ちょうど、赤信号で車は停まっていた。運転席の春人が、ハンドルに軽く両腕を預けながらこちらに顔を向けている。
……見られていた。
そう思うと、じわりと顔に熱が集まって、彼と目を合わせていられなくなる。
恥ずかしい。いい大人が、こんなことで動揺するなんて。
「そうですか。楽しみです」
こっそりと小さく息を吐いてから、笑顔を作って春人へと向けた。
ハンドルに置かれた彼の左手の薬指には、真新しいリング。結乃の同じ手につけているものと対になっているそれは、自分たちが夫婦であることの証だ。
それを見つけた瞬間、さっきまで胸の中に燻っていたモヤがなぜか急に晴れて、心が軽くなった気がした。
その理由に、彼女はまだ気づかない。