お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
彼を逃したら、この先こんなお願いをできる人は現れないだろうから。
「じゃ、決まり」
なんて決断力の速さ。晴臣が立ち上がったため、果歩もバッグを持って急いで立った。
テーブルに置かれた伝票ホルダーを掴もうとしたら、晴臣が「ここは俺が」とスマートに取ってカウンターへ向かう。果歩はその背中を追った。
「ごちそうさまです。私が一方的にお願いしているのにすみません」
ホテルのロビーを歩きながら軽く頭を下げる。彼に利益はなにひとつない。むしろ厄介なだけなのに。
「コーヒーくらいで気にしないで。あんまり自然に伝票を取るから、あやうくキミに支払ってもらいそうになったよ」
晴臣が爽やかに笑い返す。
元彼は優しかったが、お調子者でひどい浪費癖のある男だった。そのくせ果歩と付き合い始めてしばらくすると仕事を辞め、アパートも引き払って果歩のところに転がり込んできた。言うなればヒモだ。