お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
最初は放っておけなくて改心させようと奮闘し健気に支えてきた果歩だったが、明るい未来はまったく見えない。あるとき、その彼が果歩の勤め先の同僚たちにまでお金を無心していたことが判明。思いきって別れを告げ、アパートを強引に引き払って果歩はいったん実家へ戻った。
お金のない男だったため、どこかへ出かければ支払いは果歩がするのがあたり前。そのときの癖が今でも抜けず、誰かと一緒に外食すると、つい伝票を掴んで支払おうとしてしまう。
年の離れた双子の妹がいるため、世話焼きな性質も災いしているのだけれど。昔からお姉さん気質、もっと言ったらオカンのようにあれこれしてあげたくなる。ちょっと鬱陶しいタイプとも言える。
晴臣について歩いていくと地下駐車場に出た。車でここまでやって来たようだ。
地下のため余計に冷え冷えとした空気が立ち込める中、彼が立ち止まったのはホワイトパールの車体が美しいセダンの横。ひと目で高級車とわかる車種だった。
「どこの病院に行けばいい?」
「『久城総合病院』です」
「オッケー。……っと出発する前に、一応こういうのも渡しておいた方がいいかな」
晴臣は胸ポケットに手を入れ、そこから小さなカードを取り出した。差し出されたそれを見て名刺だとわかる。