お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
お互いに名前で呼んでなるべく寄り添い、知り合ったばかりの不利な点をカバーしようということになった。「よろしくお願いします」と力強く頷き、エスコートされるようにして車から降り立つ。
不意に手を繋がれ、鼓動が小さくジャンプする。すべては果歩のお願いのためとわかっているのに、心臓まではその思考が伝わらない。
ふたりは、白い要塞のような大きな病院内の入院病棟に向かって歩いた。
「変なことを頼んで本当にごめんなさい」
「今さらなに?」
晴臣がクスクス笑う。
「いえ、大それた嘘をつくんだよなぁと思って」
この期に及んで尻込みするのは、繋がれた手があたたかいせいかもしれない。彼まで共犯者にしてしまうのが申し訳ないのだ。
「おばあ様の命を救うためなら優しい嘘だと思うよ」
「優しい嘘……」
晴臣の言葉を繰り返す。