お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
(そっか、そうだよね。おばあちゃんの命を救うには、この嘘が必要なんだもんね)
今日会う人に頼み込もうと決めていたものの、密やかな葛藤があったのも事実。手術後に本当は結婚しないと知ったら、祖母はどう思うだろうかと考えて迷ったが、一番大事なのは命。彼の言葉に救われる気がした。
ノックしてから個室の引き戸を開ける。閉じられていたオフホワイトのカーテンを開けると、祖母・夏江は「果歩、来てくれたの」と明るく言って観ていたテレビを消した。
シルバーグレーの髪は入院中でも綺麗に整えられ、薄っすらと化粧もしている。いつだって女であることに手を抜かないのが夏江のポリシーだ。若々しく八十歳近くにはとても見えない。
果歩のうしろから現れた晴臣を見て、「あら、どちら様?」と顔をパッと輝かせる。突然素敵な男性が現れたからうれしそうな顔をしたのか、それとも果歩の将来に希望を見出したからなのか。
「はじめまして。七瀬晴臣と申します」
「あらあらあら、声まで素敵だわ。それでえっと……」
どういった関係なのかという目で果歩を見る。
「あのね、おばあちゃん……じ、じつは――」