お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
そのホテルのニュースなら果歩も知っている。たしか世界的にも有名な外資系の超高級ホテルだ。日本への進出は初めてだと耳にしたから、相当力を入れているだろう。そのロビーで使う椅子を頼まれるなんて。
「晴臣さん、すごいですね」
「でもちょっと煮詰まってる」
眉尻を下げた困り顔になる。
「晴臣さんなら大丈夫。きっと素敵なものができます」
力を抜くように、晴臣はふっと笑みをこぼした。
「果歩に言われると妙に自信が湧いてくるね」
「私の励ましじゃ効力が切れるのも早いと思いますけど。でも、どんなのができるんだろう。楽しみだな」
芸術的センスに欠ける果歩には想像もつかないが、あんなにたくさんの素敵な椅子を作る晴臣なら、きっと素晴らしいものを完成させるだろう。
あれこれ思い浮かべる果歩を晴臣が優しく見つめる。