お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
「完成したら見る?」
「いいんですか?」
つい食いつき気味になる。晴臣が心を込めて作り上げたものを見せてもらえるなんて、そんな誘いはなによりうれしい。
「もちろん」
完成前に祖母の手術は終わり、ふたりの関係も恋人ではなくなるだろうが、今はそれを考えたくない。
「おばあ様の具合はどう?」
「そうだ。報告しなくてごめんなさい。じつは手術の日程が決まったんです」
「それはよかった」
晴臣が三日月のように目を細める。まるで自分の家族のことのように喜ぶのは、彼の優しさ以外のなにものでもない。
「晴臣さんのおかげです」
晴臣が果歩の恋人として結婚を匂わせなかったら、今でも夏江は頑なに手術を拒んでいただろう。