結婚から始めましょう。〜SIDE 蓮〜
彼女との付き合いで常に気を遣ったのは、〝身分差〟を感じさせないことだった。それが理由で見合いそのものを断ろうとしていた彼女のこと。そこに不安を抱かせないように努めた。

それから、恋愛をしたことがないと言った彼女のペースは、大事に守っていた。自分にも大した経験はないけれど……

少しずつ心を開いてくれる彼女の様子が嬉しくて、ますます好きになっていった。
近くにいれば常に触れていたいという思いと戦いつつ、彼女を怯えさせることのないように気を遣っていた。
けれど、自分のことを意識してもらえるよう、それも徐々に崩していった。

冷静な表面の裏では、いつも葛藤していた。彼女ともっと一緒にいたい。触れたい。
獣じみた自分をいきなり目にしたら、彼女を怖がらせてしまうかもしれない。
慎重に。まるで石橋を叩いて渡るかのように、彼女との関係を築いていった。

彼女から好きだと言われた時、抑えきれないほどの喜びに包まれた。これまで生きてきた中で、何よりも幸せな瞬間だった。

けれど……
この結婚の裏で、自由が許されないことに心を痛めていた人達がいた。




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