ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜2
 さて、窓を越えるとそこは屋根である。エリナはそっと足を下ろしたが、彼女の体重は屋根に伝わっていないようだ。むしろ、子犬のクー・シーが降りた時にぽふっと音がした。

「さあ、その身体に慣れるために夜の町を散歩しようよ」

「本当に誰にも見えないのね」

「うん、見えないよ。妖精の仲間たちからは見えるけれどね、たぶんこの付近にはいないと思うから」

 クー・シーはそう言うと、身軽に屋根の上を走り出す。エリナもその後を追いかけた。彼女は確かに足を踏み出しているのだが、屋根を蹴ったつもりでもその重みは屋根には伝わっていない。ふわん、ふわんと夢の中を駆けるように進んでいく。

(うわ、なんだか変な感じ!)

 両手を広げてバランスを取りながら、エリナはクー・シーの後を追う。夜の町で人は少ないとはいえ、通行人もちらほら見られるのだが、エリナたちに気づく者はいない。クー・シーが物音を立てても風のせいだと思われるだけだ。

「そろそろ本気で行くよー」

 クー・シーがスピードをあげた。
 エリナはだんだん今の身体に慣れてきたので、広げていた両腕を自然に下ろし、時折羽ばたくような仕草をしながら夜の中を飛ぶような速さで駆ける。月の光の下で、妖精の粉を身体にまとったエリナはちらちらと光を溢しながら屋根から屋根へと飛んだ。

(すごい、楽しい!)

 これなら本当に飛べそうな気がする。
 そう思い、気分が高揚してきたエリナは知らず知らずのうちに笑顔になっていた。
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