ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜2
「ルディさんは、今日はお休みなんですよね」

 食事が終わると、エリナが言った。

「そうだが……青弓亭で人手が必要ならば、ここにいるぞ」

 一晩くらいの夜勤などなんでもない体力のある狼隊長は、やる気満々で言ったのだが、ふたりの娘猫にあっさりと断られてしまう。

「この店はまったく大丈夫だから、ルディ隊長はゆっくり休んでおくれよ」

「はい、まったく大丈夫です」

「……そうなのか」

 あっさりとそう言われるのも寂しいのか、ルディの尻尾が力なく垂れたが、すぐにピンと立ち上がった。

「そうだ、お前たちに確認したいことがある」

「なんですか?」

 仕事の口調だったので、ヴォラットも敬語になって返事をする。

「最近、白猫の若い女性を目撃したことはないか? おそろしく身軽で、屋根の上を走っている猫だ。夜間に出没している可能性が高い」

「屋根の上を? それは穏やかではありませんね。まさか、盗賊ですか?」

 熊のアルデルンが、目を細めて唸った。気のいい熊なのだが、善良な王都民の生活を脅かす犯罪者には厳しいのだ。

「いや、盗賊ではなさそうだ」

 ルディが答えると、狐は「ふうん」と意味ありげに鼻を鳴らした。

「だけど、屋根の上を走るなんて、まともなお嬢さんがすることじゃないでしょ? 限りなく怪しい猫だよ」

 サファンが、立派な尻尾をふっさりふっさりと左右に動かしながら、頬杖をつく。
 その言葉を聞いたエリナは、こっそりと肩をすくめた。犬のマイクも尋ねた。

「隊長、その白猫を目撃したのは昨夜の夜勤の時ですか?」

「そうだ」

「どう考えても思いっきり怪しいじゃないですか! 夜中に屋根の上を走り回るなんて、普通の行動とは思えませんよ。なのに、なんで盗賊じゃないと考えるんですか?」

「いやその……屋根から降りてきて……うん? あれは落ちてきたのか? とにかく、巡回中の俺に向かって『お仕事お疲れさま』ってねぎらってくれたんだぞ? しかも言葉遣いにも仕草にも品があった。俺は今まであんな礼儀正しい盗賊は見たことないぞ」

「はあああ?」

「なんだよそれー」

「僕だってないよー」

 隊員たちがずっこける中で、エリナは視線を斜め上に向けて、食後のお茶を飲んだのであった。

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