Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 3カ月後。
 8月末のまだ暑いさなか、わたしたちは都内の神社で結婚式を挙げ、晴れて夫婦となった。

 紆余曲折を経て、ようやく迎えることができた結婚式だったので喜びもひとしおだった。

 創業記念パーティーの騒動は、パーティーを取材していたマスコミに取り上げられた。

 なかには憶測だらけのスキャンダラスな記事もあり、会社の評判に関わるからとわたしたちの結婚は一時暗礁に乗り上げそうになった。

 けれども、ある月刊誌が『芹澤喜一郎氏の悲恋、孫とその末裔との結婚』という記事を掲載したことで潮目が変わった。

 非情で剛腕な経営者として名を馳せていた喜一郎氏のロマンティックな逸話は、驚きをもって好意的に受け止められた。

 そしてこの記事のおかげで、世間を味方につけることができたのだった。

 わたしがその掲載誌を読んでいたとき、隣でお茶を飲んでいた宗太さんが
「あの記事書いたの、湊なんだよ」と教えてくれた。

「えっ、そうだったんですか」

「彼は作家志望なんだ。うちに就職したのも企業を舞台にした小説を書くためらしいよ」

 うーん、やっぱり意外性の塊だ、湊さん。

「そのうち、今回の記事を小説に練り直して新人賞に応募するって。いいネタ提供してくれたって、エリカにも感謝してた」

「そんな。今度、湊さんをお招きしてください。いろいろご尽力していただいたお礼に、ご馳走をふるまいますから」
「ああ、きっと喜ぶよ」

 そして後日、はじめてプライベートでお話しした湊さんはよく食べ、よく飲む、とても気さくな人で、またまた意外性に驚かされた。
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