Sweet Strawberry Trap 御曹司副社長の甘い計略
 婚約からわずか3カ月で結婚式を挙行したのは、喜一郎氏の体調をおもんぱかってのことだった。

 車椅子で列席された喜一郎氏の目に涙が浮かんでいるのを見たとき、わたしの胸に言いようのない喜びがこみ上げてきた。

 退場するとき、喜一郎氏に向かって感謝を込めて会釈した。

 同時に曾祖母にも感謝した。
 そして、ふたりの分まで幸せになりますと固く心に誓った。

 披露宴会場はベリーヒルズビレッジのホテル。

 身内とごく近しい人たちのみで厳かに行われた結婚式とは打って変わって、披露宴は芹澤家の御曹司にふさわしい豪勢なものとなった。

 司会はよくテレビで見かける現役アナウンサー。
 財界、政界、芸能界、つまり日本中のセレブが一同に集う会となった。

 余興も超豪華。

 アーティストが自作の結婚ソングを歌ってくれたり、歌舞伎役者が祝いの舞を披露してくれるなど、一夜限りの豪華なショーが繰り広げられた。

 その主役が自分というのが、最後までどうしても信じられなかった。

 この披露宴で、わたしは南青山のメゾンで注文したドレスに身を包んだ。

 レースを贅沢にあしらったマーメードラインのドレス。

 本来なら半年はかかるところ、大至急、仕上げてもらったものだった。

 こうして、いろいろな人のおかげで、結婚式を迎えることができた。

 これから、わたしは、信じられないほど恵まれた環境で暮らすことになる。

 でも、今日のこの気持ちをけっして忘れずにいよう。

 そう心に刻みつけた。
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