転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)
「レミリア様のお使いの帰りなんですけど、広すぎて正面玄関がわからなくなってしまったんです。あの、右と左、どっちから回れば近いですか?」

「この屋敷の造りは複雑なので無理もない」

そう言ってエマの失敗を笑わずに聞いてくれたダグラスは、右回りの方がいくらか近いことを教えてくれた。

「お送りしたいところですが、これから調査任務がありまして。申し訳ない」

「いえ、歩けば着きますから、お気になさらないでください。お忙しいところお声をかけさせてしまい、こちらこそ申し訳ないです」

「急務というわけではないのですが、忙しいのは確かですね。昨日もまた怪盗ローズが現れまして。奴は空を飛ぶので我々竜騎士が捕縛せねばと思っています」

「では」と精悍な顔でニコリとし、ダグラスは去っていく。

レンガ敷きの向こうには芝生が広がり、奥に装飾性のない石造りの大きな建物が三棟連なっていた。

その建物の陰に入ったかと思ったら、大きな羽音がして、翼竜が五頭、飛び立った。

先頭の竜に騎乗しているのはダグラスだ。

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