転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)
会ったことがないので、クリストファーの記憶にないのも当然であった。
返事の手紙を思い出してから、彼は眉間に皺を刻む。
「画廊商ということは美術品の鑑定士でもあるのだろう。ウォベック公爵は展示品を勝手に値付けして楽しむつもりだな。贋作を見つけて嘲笑ってやろうという魂胆も透けて見える。オズワルド、展示品を再度専門家に鑑定させろ。万が一にでも間違ってはならない。あの豚野郎を調子づかせるな」
この国には公爵家がふたつあり、シンシアが嫁ぐ予定のモンタギュー公爵家は王家に忠義の厚い穏健派でなにも問題はないのだが、ウォベック公爵家とは折り合いが悪い。
亡き先代国王の妹が嫁いでおり、王家とは血縁関係にあっても決して味方ではなく、かえって偉そうに振舞われるのが困りものであった。
けれども有力貴族を邪険に扱えば内紛の火種になる恐れがあるので、表面上はうまく付き合っている。
舐められず、怒らせず、程よい距離感で……といった具合か。
ウォベック公爵は二重顎で肥えた腹が目立つ四十二歳だ。
つい豚野郎と罵ってしまったクリストファーに、近侍が真面目に注意する。
返事の手紙を思い出してから、彼は眉間に皺を刻む。
「画廊商ということは美術品の鑑定士でもあるのだろう。ウォベック公爵は展示品を勝手に値付けして楽しむつもりだな。贋作を見つけて嘲笑ってやろうという魂胆も透けて見える。オズワルド、展示品を再度専門家に鑑定させろ。万が一にでも間違ってはならない。あの豚野郎を調子づかせるな」
この国には公爵家がふたつあり、シンシアが嫁ぐ予定のモンタギュー公爵家は王家に忠義の厚い穏健派でなにも問題はないのだが、ウォベック公爵家とは折り合いが悪い。
亡き先代国王の妹が嫁いでおり、王家とは血縁関係にあっても決して味方ではなく、かえって偉そうに振舞われるのが困りものであった。
けれども有力貴族を邪険に扱えば内紛の火種になる恐れがあるので、表面上はうまく付き合っている。
舐められず、怒らせず、程よい距離感で……といった具合か。
ウォベック公爵は二重顎で肥えた腹が目立つ四十二歳だ。
つい豚野郎と罵ってしまったクリストファーに、近侍が真面目に注意する。