転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)
ハンググライダーは自作で、盗品の絵画を収納するスペース付きだ。

それに乗って王都上空を飛行するのは、怪盗ローズ。

変装の達人である彼は今、老人のような顔をしている。

顔に張り付けた白髭や皺の寄った皮膚そっくりの特殊布を剥がし、二十二歳の若々しい肌に戻ったら、風を切る音に交ざって翼竜の羽ばたきが微かに聞こえた。

「竜騎士団のお出ましか。今日は早いな」

楽しげに口の端をつり上げた彼は、黒い仮面をつけ、地毛の色を見られないように黒いかつらをかぶった。

後方の翼竜のシルエットは点のようであったが、すぐに騎乗している騎士の顔がわかる距離まで追いついてきた。

その数、五騎。

「怪盗ローズ、今日こそ逃がさんぞ!」

隣に並んだのは、竜騎士団長のダグラスだ。

長柄の槍を横から繰り出すが、巧みにハンググライダーを操り回避した怪盗ローズは、そのまま上昇気流に乗ってさらに高い上空へ。

眼下に見える竜の口が赤く光り、火球が飛んできたが、それは彼に掠りもしない。

相手は歴代最強と謳われる竜騎士団長のダグラスである。

決して狙いが悪かったのではない。

< 131 / 251 >

この作品をシェア

pagetop