転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)
ブルロズは序盤のみのプレイで、どの攻略対象ともエンディングを見られずに前世を終えてしまったのが残念でしかたない。

(クリストファー王太子の後は、最初に戻ってダグラスをターゲットにプレイしようと思っていたんだ。戦う男に乙女は惹かれる。実物もやっぱりかっこいい……って、これも妄想? 私の頭、大丈夫かな……)

伯爵家に迷惑をかけないよう受け答えに気をつけつつも、エマの心は不安定に揺れている。

前世を信じない方へ気持ちが傾きかけたら、王太子がレミリアに紳士的な笑みを向けた。

「この後、一緒にお茶をどう? シンシア嬢とは何度かお茶の席を共にしたが、レミリア嬢とは初めてだ。深窓の伯爵令嬢だという噂は聞いているよ。こうして会ったのもなにかの縁。ぜひ君の話を聞かせてほしい」

ただの引きこもりも、言い方を上品に変えれば、深窓のご令嬢になるらしい。

その言葉もお茶の誘いもなんとありがたいことだろうと、エマはレミリア付きの侍女として嬉しく思っていた。

(王太子殿下は二十四歳になられるのに、まだ妃がいない。もしかするとこの出会いがきっかけで、奇跡的にレミリア様が見初められたりして……)

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