転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)
夢物語のような期待に胸を膨らませたエマは、晴れやかな顔をレミリアに向けてギョッとした。

(な、なに、この文字列……!?)

レミリアに被せるように浮かんだ、幻のような三つの選択肢。

いや、正真正銘の幻なのだろう。

驚いているのはエマだけで、他の三人はいたって平静である。

その選択肢とは、次のようなものだ。

① 【わたくしをお誘いくださるなんて……。嬉しくて胸がドキドキいたします】
② 【ちょうど喉が渇いておりましたの。喜んでご一緒いたします】
③ 【申し訳ございません。家の者が心配するので帰ります】

(この選択肢も、ブルロズと同じだ。ゲーム内では侍女が倒れるシーンなどなかったから、ヒロインが店先で助けられた後、すぐに王太子にお茶に誘われた)

①を選べば王太子との親密度が三ポイント上がり、②は一ポイント。③はマイナス一ポイントだ。

前世でセーブせずに全ての選択肢を試したため、エマはそれを知っている。

(レミリア様、まさかとは思いますけど、③は選びませんよね……?)

不安がよぎるのは、レミリアが冷めた視線を王太子に向けているからだ。

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