転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)
『どうせ私はシンシアみたいに可愛くない』が口癖のレミリアは、貴族女性として完璧な姉に劣等感を抱いている。
古書店での最初の出会いでシンシアと間違えられたことが引っかかっているのか、それとも『シンシア嬢とは何度かお茶の席を共にした』と王太子が言ったことを気にしているのかもしれない。
お茶の誘いに舞い上がるべきところなのに、味のしないガムを噛み続けて三日目のような顔になってしまっていた。
ニコリともしないレミリアが、口を開く。
「申し訳ございません。家の者が心配するので、わたくしたちはこれで失礼します」
「そ、そうか。残念だが、またの機会に……」
まさか自分の誘いを断る娘がいるとは思わなかったのだろう。
王太子の紳士的な笑みは引きつっており、エマは頭を抱えたい気分になる。
(レミリア様ったら、やってくれたわね。王太子殿下に誘われることがどれだけ名誉なことか、わかってないの? 断るなんて信じられない……)
それからすぐに王城を後にしたふたりは、王太子が手配してくれた馬車に揺られて、モリンズ伯爵邸に帰ってきた。
古書店での最初の出会いでシンシアと間違えられたことが引っかかっているのか、それとも『シンシア嬢とは何度かお茶の席を共にした』と王太子が言ったことを気にしているのかもしれない。
お茶の誘いに舞い上がるべきところなのに、味のしないガムを噛み続けて三日目のような顔になってしまっていた。
ニコリともしないレミリアが、口を開く。
「申し訳ございません。家の者が心配するので、わたくしたちはこれで失礼します」
「そ、そうか。残念だが、またの機会に……」
まさか自分の誘いを断る娘がいるとは思わなかったのだろう。
王太子の紳士的な笑みは引きつっており、エマは頭を抱えたい気分になる。
(レミリア様ったら、やってくれたわね。王太子殿下に誘われることがどれだけ名誉なことか、わかってないの? 断るなんて信じられない……)
それからすぐに王城を後にしたふたりは、王太子が手配してくれた馬車に揺られて、モリンズ伯爵邸に帰ってきた。