転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです（汗）

領地はなく、他貴族が所有している荘園の管理者として生計を立てている。

一応、爵位はあるけれど……という程度で、小作人と一緒に畑を耕しており、貴族的な暮らしをしたことはない。

兄がひとりと、弟妹が四人。

家族の生活のために、エマは侍女の給金のほぼ全てを送金しており、恋愛も結婚もとうに諦めていた。

（行かず後家になるのは私の方だ。こんな私に説教されても響かなくて当然ね。それでもレミリア様だけは……）

ここで『そうですね』などと納得したら、レミリアの引きこもりを許したことになってしまう。

エマは厳しい顔を取り戻して、負けじと反論した。

「家柄が違います。私だってモリンズ伯爵家に生まれていたなら、いい結婚をしようと頑張りますよ」

そこまでならよかったのかもしれないが、「シンシア様のように」と付け足してしまったことで、レミリアを怒らせてしまった。

鼻の付け根に皺を寄せたレミリアに、盛大に拗ねられる。