平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
「あなた、話が進まなくってよ」

「ああ、すまんなアリスティア。おっほん。タイミング的にいいからと、陛下も獣騎士団を軍事公務に参列させる気であるとも聞いている。お前は、どうする気だ?」

「これから考えるところです。先程、陛下にはお会いしましたが、パーティー中でしたので、恋人をご紹介しつつご挨拶だけで済ませましたから」

「そうか、そうか。うむ」

ジェドがわざと強調した恋人の下りで、期待感を隠せないヴィクトルがそわそわして答えた。

……どうしよう、お父様ってすごく態度に出る人だわ。

怖い貴族、怖い前獣騎士団長というイメージが、リズの中でがらがらと音を立てて崩壊していった。良心が痛み始める。

すると妻のアリスティアが、夫に許可を出すように頷く。それを見たヴィクトルが、もう仕事の話はしまいだと言わんばかりにぱっと笑った。

「うむ、ジェドよ。このたびはまた仕事かと思ったが、まさか恋人ができたという紹介も兼ねていたとは、実はとても嬉しいサプライズだと思っていたんだよ!」

ヴィクトルが、「ははは」とジェドの両肩を褒めるようにばんばん叩く。

急な宿泊の件については、めちゃくちゃ大歓迎なようだ。先日、ジェドが『大丈夫だ』と自信たっぷりに口にしていたのを、リズは思い返した。

「はじめまして、わたくしは彼の母のアリスティアよ」

「あっ、はい、はじめましてリズです!」

声をかけられて焦って答える。お辞儀をした拍子に、作り笑いで反応が薄いクールな息子から、ヴィクトルが早速視線を移してきた。
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