平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
「私は父のヴィクトルだ。ジェドは一人息子でね、妻に似てそれはそれは美人なんだが、大きくなるにしたがって可愛らしさがなくなって、手紙もそっけないし全然顔も見せに来ないんだ。幼獣を育てるのが一番うまいのに、ちっとも子に興味を抱かないのも、ほんと憎たらしくてね」

「はぁ……そうだったのですか」

どんどん喋るヴィクトルに、リズは押され気味に身を引く。

団長様が、白獣の子育てが上手?

そんなイメージはなかった。そちらについては、優しい上司のコーマックか、いつも小まめに日記をつけている獣騎士トナー辺りが思い浮かぶ。

すると、アリスティアも、夫に負けじとリズの前を陣取った。

「わたくしとしても、孫を抱き上げられる年齢までには吉報が欲しいと、何度も言っていたんですよ。そしたら、この子ったら全然探さないばかりか、二の次には『白獣の件で手いっぱいです』と言うんですからっ」

仕事には熱心だけど、嫁選びを全くしていなかった一人息子ジェドには、不満がつもっていたらしい。

ぐいぐいこられたリズは、二人の話を聞いているしかない。そばで当のジェドが、初めての屋敷であるカルロの反応を観察しつつ、しれーっと聞き流している。

「こうなったら、気位の高い娘だろうが我慢する覚悟で、縁談の話については宣伝しまくっていたんだがね。まさかここにきて、こんなにも愛らしい娘を連れてくるとは!」

突如、ヴィクトルの大きな両手で、手を包み込まれた。

「ひぇっ、な、なんでしょうか」

びっくりするリズの反応も、なんのそのだった。前グレイソン伯爵夫妻は、ぐいぐい覗き込んでくる。
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