平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
ジェドが、甘い声で優しく名を呼んでくる。部屋にいる執事の目を気にしてことだろうと分かって、リズは遠慮がちながら彼と見つめ合う。

気を利かせたサムソンが、言葉もなく静かに退出していった。

それでもジェドの目が、リズから離れることはない。手は彼の体温に包まれていて、まるで本当の恋人同士みたいでドキドキしてくる。

「あのっ、……もう、人の目もないのに」

瞳の色の細部までじっくりと見てくるような視線に耐えきれず、リズは言いながらも俯いてしまった。

ぎしり、とソファが鳴る音が耳に入る。近づかれたのが分かって、ドキリとした直後、そっと顎に手を添えられて視線を戻されていた。

「『人の目もない』なんて初々しい言われ方をされると、男としてはもっと構いたくなるぞ」

またこちらをからかっているのだろう。でも、初心なリズは意識してしまって、かぁっと顔が熱くなるのを止められなかった。

悠々とした笑みを浮かべるジェドの美しい顔が、目の前にある。

ふりだと分かっているのに、彼の強気な笑顔に、なぜか心臓がばっくんばっくんしてしまう。

「少しは慣れろ。お前は今、俺の〝恋人〟で〝未来の婚約者〟だろう」

何も答えられないでいると、ジェドが近くから視線を合わせてきた。まるでリズが落ち着くのを待つかのように、しばし寄り添う。

本当に恋人同士のような距離感だった。

二人の間を、窓から入り込んだ心地いい風が吹き抜けていった時、ジェドが少し動いて――どうしてかリズは、頭の横に口付けを落とされた。

「ひぇっ、な、何をしているんですか団長様っ」
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