平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
ちゅっとした感触を覚えた頭を、咄嗟に奪い返した手で押さえる。

「ただ頭に唇をつけただけだろう」

「ひえぇ、生々しい言い方をしないでくださいっ」

「ここでは俺の恋人なんだ。その練習だと思えばいい」

「れ、練習って……」

しばらく未来の婚約者のふりをしなければならない。これは任務でもあるのだと考えようとしたのだが、リズはジェドを相手ら想像した途端、ドキドキがガツンと増して涙目になった。

――恋愛経験ゼロの私には、無理っ!

そう思っている間にも、ジェドが肩を抱き寄せて髪を梳いた。今度は頭の上ではなく、すくいとった髪にちゅっと口付ける。

もうその音だけで、リズは恥ずかしくってスカートをきゅっと握った。

「なっ、慣れません。やっぱり無理ですっ」

「これでも、だめ?」

ジェドが言いながら、リズの桃色の髪を一房口元にあてがう。

凛々しい目が、こちらをじっと見ている。肌にしているわけではないのにだめなのかと、確認されているのが分かって頭の中が沸騰した。

「カルロだって、すぐそこにいるのに」

「見られるかもしれないから恥ずかしい、と? カルロは、俺の相棒獣だ――いくらでも見られていい」
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