平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
先日の話ぶりからすると、彼はまだしばらくは婚姻活動をしないつもりでいるらしい。でも、どう考えても、ずっとは通用しない嘘で。

こんなに騒がれて、調査が済んだあとで問題になったりしないんだろうか?

ジェドが話を受け持ってくれている間、リズは考える。まぁ、でも団長様のことだから、何かしら考えてはいるのだろう。

「俺が隣にいるのに、別のことを考えているだなんて、焼けるな」

不意に声が聞こえて、リズは「へ?」と我に返った。

考え事をしている最中だったから、反応に遅れた。気づいた時にはジェドの大きな手が、リズの華奢な首へと回って引き寄せていた。

「まだまだ俺の魅力が足りないらしい」

そのまま、ジェドはリズの首の後ろにキスを落とす。

髪越しに、ちゅっとした唇の感触を覚えた。そこまで御執心なんだと周りの者たちが微笑ましげに見守る中、またしても赤面したリズは、心の中で「ひぃえええええ!」と叫んでいた。

――こんなのが、このまま続いたら身がもたないっ。

リズは、パッと咄嗟に首の後ろを押さえてジェドを振り返った。恥ずかしすぎてその目は潤み、声も出なくて口もぱくぱくしてしまっていた。

相手は、あの鬼上司な団長様だ。なのに……、もおおおおっ、なんでこんなにも頭の中が沸騰しそうなくらいドキドキしちゃうの!?

「あ、あの、私、もう――ひぇっ」

ようやく声が出たリズの大きな赤紫色(グレープガーネット)の目が、いよいよ潤んだ。その途端、何かのスイッチが入ったみたいに、ジェドの笑顔の輝きが二割増しになった。

この笑顔は、よくないことが起こる前に見ていたものである。
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