平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
リズは察知して「ひぇぇ」とか細い声をもらした。その果実のような瞳に、自分だけが映っているのを見つめながらジェドは迫る。

「おやおや、俺の可愛い人は、初めての場所で緊張しているみたいだ。こういう社交も初めてだからね。俺がいるから、平気だよ」

「いや、団長様がいるから気が気でない――ぴぎゃ」

直後、胸板に顔面を押し付けられる形で、リズは言葉を遮られていた。

少し遅れて、めいいっぱい正面から抱き締められていることに気づく。もう耳まで真っ赤になって言葉も続かない。

「皆さま。もっと話していたいのですが、まだご紹介していない方々もいらっしゃいますので、一旦、ここで失礼したいと思います」

まだまだ紹介するの!?

腕の中で、リズがビクゥッと飛び上がる。ジェドは周りに悟らせずにっこりと笑うと、颯爽とリズを次の場所へと連れ出した。

社交なんて初めてのことだ。少し前まで田舎の村にいて、貴族や軍人も見慣れていない。パーティーなんてリズに経験があるわけもなく……。

目まぐるしくて、頭の中もぐるぐるしてくる。明るい会場内や、装飾品やドレスで視界もチカチカし始めた。

これも仕事なのだ。コーマックたちに任せられたこともあって、獣騎士団長直属の部下なのだという思いでリズはがんばった。でも、不慣れな社交に体力が続かず、令嬢たちの三度目のリベンジを乗り越えたところで、精神力も尽きた。

「だ、団長様、もう……無理……」

ふらっとした直後、リズはひっくり返っていた。ジェドが受け止めて、親切な老紳士が呼んですぐに係の者が駆けつけた。

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