平凡な私の獣騎士団もふもふライフ2
未来の婚約者のふりをしているのに全く関心がない。カルロが気を利かせて鼻先で彼女の肩を押すものの、リズは足元を見ていて溜息を一つ。

「カルロ、ぐいぐい押しちゃだめよ」

はいはいと鼻の上を撫でられて、さすがのカルロも呆れた表情を浮かべる。

全然意識されていない。でも現状であれば仕方のないことで、ジェドが自分でフィレイユ嬢の話を終わらせるべくにーっこりと笑顔を返す。

けれどどこか私情がこもっていて、無意識に圧を覚えたフィレイユ嬢が、反射条件で口を閉じた。

「俺にあまり近寄らないでいただけますか、フィレイユ嬢?」

「え……? でも、いつもお優しい伯爵様なのに、今はどうして」

「ここにいる俺の相棒獣が警戒します」

ジェドが笑顔を作ったまま述べる。するとカルロが、タイミングよく恐ろしい雰囲気を漂わせ、ぐるるる……と喉の奥から低く唸った。

「相棒騎士がいるのに、どうして」

フィレイユ嬢が、青い顔をしてよろりと後退する。

とはいえ、実のところ警戒反応ではない。ピリピリとした気配も感じなかったリズが、ようやく思案をやめてきょとんとカルロを見る。

「申し訳ないフィレイユ嬢。あなたもご存知かと思うが〝彼〟は、俺の相棒獣になったばかりでしてね。歴代の戦闘獣の中でも極めて強く、狂暴だ」

わざと怖いイメージを更に強めて、ジェドが言う。
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