勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「そう、あんたが変な男に声かけられないように、



見張ってろって」




ブレない保護者目線。




さすが九条さん……




「あの、九条さんのお友達、ですか?」




ひょろっと背の高い、



よくよく見れば女の子のような可愛い顔立ちの



そのひとをちらり。




「俺、小鳥遊琉人。



初等科のころから千里とつるんでる。



あんた、千里と結婚させられそうなんでしょ?」




「……はい」




「千里、珍しく焦ってたけど、なにがあったの?」




「あ、あの、友達の付き添いでここに来たら、



偶然、九条さんに会って」




「あー、オープンキャンパス的な?」




「は、はい」




ピアスとか、ネックレスとか、



身に着けているものはちょっと派手だけれど、



悪いひとではなさそう……




「で、その友達はどこ行っちゃったの?」




「OGの先輩のところに、挨拶に行っています」




「ふーん、で、友達を待ってたら、



千里に見つかったわけだ」




「……はい」




九条さんに会いたい一心で来てしまったけど、



よく考えたら、九条さんにとっては迷惑でしかないはず。



今更ながら、それに気づくなんて。




「で、どうしてそんなへこんだ顔してんの?」




答えられずに下を向く。




「こんなところに制服で来るなって、千里に怒られた?」




「……」




「あは、正解だ」




無言でいると、明るく笑われた。




「あんたさ、千里のこと好きなの?」




「え? あ、いえ、えっ?」




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