勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
けれど動揺している私の隣で、



九条さんはコーヒーを飲みながら平然としている。




相変わらず私ばかりが意識していて、恥ずかしい。




すると、九条さんが柔らかく笑って



私の顔をのぞきこむ。




「彩梅、左手、だして」




……え?




きょとんと左手を差し出すと、九条さんがその薬指に、



マドレーヌをラッピングしていた赤いリボンを、



ちょうちょ結びで巻きつけた。




……左手の、薬指?




こ、これは、どういう意味なんだろう?




もうドキドキしすぎて、心臓が痛い……っ!




すると、九条さんがゆっくりと、言葉をつむぐ。



< 196 / 250 >

この作品をシェア

pagetop