勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
その時、スマホが鳴って手にとると、



ものすごく鋭い視線が突き刺さる。




夏休みに入ってから、



サークルのイベント関連のお誘いが多い。




すると、隣にやってきた九条さんが目を光らせる。




「……ともだち?」




「大学のお友達です。水島アキラさんっていう」




「……アキラ?」




「女の子です!」




女子大だし!




「あの、九条さん、もっと広い世界を見ろって、



私に言いましたよね?」




「そうだったか? 彩梅、冷蔵庫からバターだして」




「はい、……じゃなくて! 



もっと広い世界を知って、



色々な人に出会えって言ってたのに。



サークルも飲み会もダメって……!」




最近の九条さんは、お父さんより厳しい気がする。




「うちの奥さんは危ないからなー。



ぼけーっとしてて、『彼氏、いるの?』って聞かれて、



『彼氏はいません』って答えそうだし。



いるのは旦那だし、みたいな」




「そんなこと、誰も言ってこないです!」





「はあ」




「ため息つかないでください!」




「とにかく、絶対にほかの男に近寄るなよ」




九条さんがこんなに心配症だとは思わなかった!




九条さんこそ、モテモテなのに!




「つうかさ、女子大なのに、



なんであんなに、男子が出入りしてんの?



男子禁制なんじゃねえの?」




ど、どうしよう、もう我慢の限界。




こんなに心配してくれるなんて、



嬉しすぎて頬っぺたが緩む!




「……どうした?」




「九条さんが心配してくれて、嬉しいなーって!」




すると、ふわりと唇に甘い違和感。




……び、っくりした。




< 233 / 250 >

この作品をシェア

pagetop