勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「今のは、彩梅が悪いよな?」




頬っぺた、熱い……




「やっぱり、さっさと入籍するか」




「大学卒業まで、待つんじゃなかったんですか?」




「もういいじゃん、九条彩梅で」




「だ、だめですよ」




「なんで?」




「恥ずかしいからです!」




入籍して『九条彩梅』になったら、



自分の名前を呼ばれるたびに、赤面してしまう……!




もう少し、心の準備が必要です……




「……あのさ、いつかは九条になってくれんだよな?」




「それは、はい、あの、……是非!」




「くくっ、是非ってなんだよ」




楽しそうに笑う九条さんに、



ぎゅっと後ろから抱きしめられて、飛び跳ねる。




「彩梅、好きだよ」




耳元でささやく九条さんに必死でうなづいたけれど……




ドキドキしすぎて、心臓が壊れそうです……!




しばらく、九条さんの胸のなかに閉じ込められた。




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