勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
こ、こんな状態で一週間も一緒に暮らすなんて、大丈夫かな……




その夜は別々の部屋で横になって、



ドアを開けて夜中まで九条さんと話していた。




翌日は、大学に用があるという九条さんを玄関でお見送り。




「いってらっしゃい!」




「ん、いってくる」




よく見る朝の風景……のはずなんだけど、



こ、これは恥ずかしい!




ふたりで顔を真っ赤にして、立ち尽くす。




「……こ、これ、ものすごく照れますね」




「ヤバいな。予行練習って感じがものすごい」




「は、はい」




照れまくりながら九条さんを送り出して、



広いリビングでひとりきり。




さて、どうしよう。




お料理はまだまだ九条さんのほうが上手だけど、



片付けは嫌いじゃないし、頑張ろうっ。




洗濯して、掃除を終わらせると、玄関から物音がする。




まさか、九条さん⁈




思っていたより早くてびっくり! 




「ただいま」




「おかえりなさい。早かったですね!」




九条さんが出掛けてから、まだ三時間!




「顔出すだけでよかったから、彩梅に会いたくてすぐ帰ってきた」




つぎの瞬間、チュッと九条さんの唇が、甘く跳ねる。




「……っ!」




「ただいま、奥さん」




「お、お、おくさん?」




「ちょっと言ってみたくなった」




九条さんはいたずらな顔をして笑っているけれど、



もう、顔が熱くてたまらない!




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