悪役令嬢には甘い言葉は通じない。
仮面をしてるとは言え、それ以外で私と予想がつく格好をしているのだから。
「見て、あの男の人!すごくカッコよくない!?」
「本当だ!」
何故か熱を感じる声がわらわらとこちらに近づいてくる足音に、私の心臓が高鳴る。
こんな所で侍女達に遭遇してしまったら、なんて説明していいのか分からない。
ぐっとルーベルトにくっつくと、彼の腕が私のことを腕の中に閉じ込めた。
「すごく積極的だね。今すぐにでも食べちゃいたい」
吐息が耳に掛かって擽ったいが、ここは声を我慢しなければ後々大変な目にあってしまう。
じっと我慢してルーベルトの胸に顔を押し付けていると、侍女達の足音はそれ以上近づいてくることはなかった。
「なんだ、もうお相手がいるみたい」
「ええ〜残念」
行こうと侍女達は声を掛け合いながら、私達の元から離れるように足を動かしていく。
その足音が聞こえなくなりほっと胸を撫で下ろし、ルーベルトと密着していたことに今更気づく。