悪役令嬢には甘い言葉は通じない。
この私を一体誰だと思っているのかしらね、その現実を叩きつけてあげようじゃない。
「そこの貴方、この私にお菓子をくれるかしら?まあ、貴方には拒否権はないけど」
「よっ!喜んで!!」
無駄に興奮しているその男性に内心首を傾げながらいると、お菓子一つ貰う予定がお菓子が入った籠ごと手渡される。
受け取った籠をルーベルトに勝ち誇った笑みと共に見せつけてやると、固まった表情でルーベルトがその男性を何故か突き飛ばした。
そんなことをされたのにも関わらず男性は浮かれた様子で、スキップしながら道を駆けて行ってしまった。
「これでこの勝負、私の勝ちですわね」
見せつけていたお菓子の入った籠だったが、少し怖い顔をしてルーベルトが私から奪ったかと思うと、あまり嬉しそうでもないのに笑顔を向けた。
「そのお菓子に虫が入ってるみたいなので、後で俺が処分しておきますね」
「え……そうだったの?少し残念ね」
そう言うことならば仕方ないと肩を落としていると、どこからか聞き覚えのある声が聞こえてきた。
……これは、少々よろしくないわね。
ルーベルトを盾にでもするように、その身体に私の姿を重ねた。
「えっ、お嬢様……!?」
動揺するルーベルトの頬が微かに赤くなったような気がしたが、今はそれよりもこの声の主達に出くわさない方が優先だ。