メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
「田舎の娘はキョウ、街の娘は別の子───レミと似た雰囲気で、レミより個性が薄い子ね。レミだとアクセより目立っちゃうから───でいく予定だったんだけど、一人のモデルを全く違う雰囲気で撮って、『田舎娘が都会に来て恋を知る』っていうストーリー仕立てにしたら面白いんじゃないかってレミが言い出して、俺もそれ楽しそうだな~って。」

「別にその子が気に入ったとかじゃないし!むしろ気に食わないし!話題性を作りたかっただけ!売り上げのためよ。」

玲美が顔を赤くして吐き捨てた。

「しかもその子超ポンコツなんだから!泣いてみてって言っても全然泣けないの。涙一滴出ればいいだけなのにさ。相当待っても駄目で仕方なく目薬使ったんだから。」

憤慨する玲美に玲央も同調する。

「意外だよねぇ。名作アニメとかですぐポロポロ泣きそうなのに。涙腺固いんだ。」

「最後にポロポロ泣いたのいつかわからないかも。」

杏花が言う。確かに意外だ。

「レミなんか映画とか感動する話とかすぐ泣くよねぇ。こないだの友達の結婚式でも最初から最後まで泣きっぱなしで・・・ぐおっ!」

玲美にクッションで往復ビンタされた後、膝で腹を攻撃された玲央は体をくの字に曲げて言葉を失くしている。

「もう!私寝直すから静かにしてよね!次起こしたらこんなもんじゃ済まないから!」

玲美は怒りの交差点マークを飛ばしながら奥に入って行った。
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