メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
「SNSだって玲央よりフォロワーが少なくても、玲美の更新を心待ちにしてる人達がいるんだ。数なんて関係ない。」

「・・・それは、そうだけど・・・。」

「俺達クリエイターにとって一番大切なことは、自分が自信を持って届けられるものを作って客に喜んでもらうことだ。他のやつなんて関係ない。それが友達だろうと家族だろうと。」

「・・・っ。」

「矛盾すること言うようだけど、玲央の存在で玲美が向上しようと思えるのはいいことだ。悔しい気持ちをバネにして得たものを作品に注ぎ込んで、自分だけが作れる作品を磨いていけばいい。」

玲美は丸まっていた姿勢を正してこちらをじっと見た。目が赤くなり潤んでいるのは酒のせいだろう。

「・・・ハルはすごいわね。学生の時から一匹狼だったけど、すごく強い。」

「・・・いや、こういう風に思えるようになったのは最近だよ。あいつに会ってからクリエイターとして俺は俺のままでいいって思えるようになった。」

思わず口が滑ってしまいハッとするが、玲美の反応は意外なものだった。
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