メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
「・・・綺麗な目・・・。」

思わずそうつぶやくと彼は虚を()かれたような表情になりサッと体を離した。

「・・・な!?何だよ!?」

「目が綺麗だなって。」

「き、聞こえてんだよ!何回も言うな。」

「だって綺麗な目だから。」

「アホ!何回も言うなって言ってるだろ!わざとかよ!」

暖人さんはかなり動揺している様子だ。

「わざとじゃないよ。本当に綺・・・むご。」

私の口は彼の(てのひら)でふさがれた。

「俺はこの目が大嫌いなんだよ。この目のせいで怖いとか感じ悪いとか言われるし、柄の悪いやつに絡まれたりして面倒でしかないんだよ。」

「私はその目好きだよ。」

「・・・は?」

暖人さんの手から逃れて言うと、彼は眉間にしわを寄せて怪訝な顔になった。

「確かに鋭くはあるけど、怖いとか嫌な気持ちは全然しないよ。向かうべき場所を純粋な強い心で真っ直ぐ見据えている目だと思う。すごく素敵だよ。ずっと見ていたいくらい。」

そう言うと彼は息を呑んで私を見つめてから、我に返ったような表情に変わると、私の顎に手を当ててぐいっと上を向かせた。

「・・・お前、俺を怒らせたな・・・罰として・・・奪ってやる。」
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