メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
花火ってこんなに綺麗で楽しいものだっただろうか。

シューッと光が出て色が変わるものやパチパチと光が出るもの、打ち上げ花火や蛇花火。バラエティーに富んだ花火に年甲斐もなく歓声を挙げてはしゃいだり、うっとりしたりしてしまった。

あれだけたくさんあった花火もあっという間に残すは線香花火のみになった。結構風があるので落とさないように慎重に持って待っていると、花火の先に丸い玉が出来てジーッと音が鳴ってから、シュパッシュパッと暗闇に光の絵画を描き始めた。

杏花の方を見ると彼女も落とさずにいられているようで、こちらを見て微笑んでくる。聞こえてくるのは波の音なのか、それとも心のざわめきなのか。俺はこの線香花火がずっと終わらなければいいのに、などと思ってしまっていた。


花火が終わって懐中電灯で照らしながら砂浜を歩く。

「お母さんの実家、千葉の南房総市で海の近くなの。お祖母ちゃんが小学校の図画工作の先生してたから、その影響でお母さんもハンドメイドが好きなの。」

「親子代々なんだな。」

そこで突然杏花がしゃがみこんだ。

「あ、綺麗な貝殻あったよ。これで何か作ろうかな。」

「貝殻見るとさ・・・いや!何でもない。」

「?私は貝殻見るといつもマドレーヌを思い出すよ。この貝殻が全部マドレーヌだったら嬉しいな、なんて。」

「・・・俺もずっと同じこと思ってた・・・。」

───やばい、同じこと考えてたなんて嬉しくてつい・・・。こいつがそういうメルヘンなこと考えてても違和感ないけど、俺が考えてるのバレたら確実に引かれるだろ・・・。
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