フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約

二人とも平気で異国の王家の話をしてるけど……それってトップシークレットなんじゃ?

「あああ~」と小椋さんがおろおろしてる。たぶん、いや間違いなく彼はミレイ王女が苦手なんだろう。それはわかる。
私も一度だけ対峙したことがあるけど、付き人のマリアさんがいなければどうなったやら……。
香澄以上の我の強さがあるし、それ以上の身分でわがまま通し放題だから。

「あのっ……」

一触即発の空気を破りたくて、私は二人に提案した。

「良かったらお昼……食べません?」



「ずいぶん古めかしいお店なのね」

王女様は嫌がるかと思いきや、古民家を改装した店内を興味深く眺めてた。

「興味がおありです?」
「……いいものはいい、わたくしもそれくらい認める器量はあるつもりよ」

王女様の意外な発言に、おや、と思った。

上着も自分で脱いでそばに綺麗に畳んでいるし、囲炉裏のある畳の上で足を崩さずきちんと正座をしてる。真っ直ぐな姿勢がとても美しい。

本当に、育ちがいいんだ。

品がある、というのはこういう人を言うんだろう。いくらブランドものを身につけたところで、振舞いが伴わないとムダかもしれない。

囲炉裏を小椋さんとミレイ王女と私とレイの順で囲んでる。小椋さんがさっきから無線で何かやり取りしてるけど、何だか表情が険しくなっていくのが気になる。

このお店は客室が隔てられていて、どんな話をしても大抵聴こえない。小椋さんが両脇を追い出してたけど……。
やり過ぎではないのかな?


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