フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約
「レイ王子、あなたは国民に人気があるの。悲恋の末に結ばれた、ミルコ女王と外国の使者の息子……誰より善政を敷いた女王は、あなたの暗殺危機で日本へ亡命し、あなたをひとりで育て立派に成人させた。そして、息子のあなたはこの日本で成功して……英雄にさえ思う民もいるのよ」
ミレイ王女の話を、レイは鼻で笑った。
「それで? 今度はオレの人気に目をつけたアンタが、オレを利用して人気回復を目論んでるってワケ?」
「……そう思われても構わないわ。わたくしには、時間がないの。手段は選んでいられない」
そして、ミレイ王女は意外なことをした。
三つ指をついて、頭を畳につくほど深々と下げる。いわゆる土下座をしたんだ。
「お願いよ、レイ王子。あなたとあなたのお母様の母国のために……どうか国へ来てください」
あの傲慢で高飛車な王女様が、人前でここまでするなんて。
本当に、国のためを思ってるんだ。
「レイ……」
彼は、どうするんだろう?
以前、王家と国はオレたち見棄てた、と言ってた。だから、むしろ憎しみに近い感情はあるだろうけど。
「……確かに、アンタとオレが結婚すれば、反体制派を黙らせることができるだろうな」
レイの意外な発言に、私はぎょっとしてミレイ王女はパアッと顔を輝かせた。