フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約
「……」
バスルームに水音が響くなか、真宮さんがなにかを呟いた気がした。
「真宮さん、背中が痛いんですか?」
ひどい痛みで呻いているかと思い、心配になって彼の顔を覗きこもうとした。
「大丈夫ですか?」
けど、真宮さんは濡れた前髪をかきあげてため息をつく。その仕草がやけに艶めいて見えて、ドキッと胸が鳴った。
「ーーアンタこそ、平気なのか?」
紅い双眸が私を見上げてくると、カアッと顔が熱くなる。
「わ、私よりあなたのことですよ……」
ふと、まだ言ってないことがあると気づいた。
「あの……ありがとうございます……」
「何が?」
真宮さんがすっとぼけるから、私は頭に血が昇りそうになった。
「ですから、私のドジであなたが火傷を……ごめんなさい。護ってくれて……ありがとう」
「アンタのドジじゃないよ。皿に羽が生えて勝手に飛んだだけだ」
「え?」
「それか、空中に油が浮いてて皿が滑ったんじゃないの?」
「…………」
本気で言ってるとは思えないけど……彼が、私のせいじゃないって言ってくれてる気がして。不覚にも泣きそうになった。
「……ありがとう」