フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約

いくら真宮さんがいいと言ってくれても、私が彼を火傷させたのは事実。完治するまでは責任を持たなきゃ。

火傷を冷やしてる間に小椋さんが病院に連絡してくれていたらしく、すぐ知りあいの医師に診てもらえるとのこと。
緊急外来のない病院だけど、裏口から入れて貰って診察室へ。小椋さんは待ってるね、と中待合室のソファに座る。

一般的な病院より遥かに上質な建築素材が使われたモダンな室内。清潔にするためのリノリウムの床はなく、絨毯が敷き詰められてて驚きだ。まるで一流ホテルかなにかと勘違いしてしまいそう。

「アンタも来い」

と真宮さんが言うから、頷いて彼に付き添った。

濡れた服はさすがに着替えたけど、やっぱり患部が痛むのか、上はプルオーバーのシャツを着ただけだ。 もう年末で寒さもあるのに……
心配になった私は、刺激が少ないだろう手編みのひざ掛けを羽織らせた。これ1枚あるだけでも違うはず……。

「お、坊か。久しぶりだな」

診察室へ入ると、白髪でかなりお年のお医者様が座ってて。いきなり真宮さんをそう呼んで驚いた。

「その呼び方はやめてください、って毎回言ってますけど。聞いてませんよね」
「ほっほっほっ、70のわしから見れば、おまえさんはまだまだ子どもだよ」

二人の会話で、先生が70歳ってことにまず驚いた。お医者さんに定年はないって聞いたけど、やっぱりすごい。
しかも、腰もぴんとして目付きも喋りもしっかりしてる。とてもそこまでお年に見えなかった。せいぜい60くらいとしか。
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