フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約

「ほっほっほっ、お見事な馴れた手つきですの」

おじいちゃん先生にそんなこと言われて、えっと顔に熱が集まる。

(わ、私がしょっちゅう脱がしてるみたいに言わないで……!)

それを聞いた真宮さんが、ニヤリと口元を歪めた。たぶん笑ったんだろうけど。

「そうだな。今日なんて強引にバスルームに連れ込まれ、一緒にシャワーを浴びたんだ」
「え……ちょ」

とんでもない爆弾発言をかましてくれる彼は、さらに口の端が上がってる。
着衣のまま、火傷を冷やすためなのに。それを抜かしたのは、絶対、絶対わざとだ~!

「ほっほっほっ、仲良きことは美しきかな。さて、患部を診ましょう」

やっぱり別の意味に誤解したらしい先生は、満面の笑みで真宮さんを診る。

(やっぱり別の方に誤解してる……)

私だけ、この場で頭を抱えたくなったけど、おじいちゃん先生の声で頭を上げた。

「ほう、患部をラップで巻いたんですか。これはよい処置をされましたな」
「あ、はい。私も何度か火傷の経験があるので……火傷の治療は傷から自然に出る液が大切だと教えていただいたんです」

私の答えに、先生は「結構」と深く頷いた。

「火傷をしたら、まず患部を着衣のまま冷やすこと。清潔に保ち、何もつけずにラップを巻いておくのが一番です。患部に直に包帯を巻いたりガーゼを当てると、お嬢さんのおっしゃった通りに治りが遅くなりますからな。薬をつけずに自己の治癒力に頼るのが今の火傷の治しかたです」

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