フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約
そういった先生はそばにいた看護師さんに指示を出し、ラップを外して傷の状態をしっかり診る。
「水ぶくれもできていませんし、赤くなってるくらいですから、おそらく1度の火傷でしょう。もう一度洗浄のみして、傷を保護する創傷被覆材を貼っておきますね。後は念のため痛み止めを……」
「痛み止めはいらない」
「そう言うと思いましたよ。あなたはどんなひどいおケガでも、使ったことはありませんからね」
(ーーえ?ひどいケガ!?)
何だか聞き捨てならない先生の台詞に、思わず真宮さんの上半身をまじまじと見てしまったけれども。
確かに、脇から背中にかけてうっすらとひきつれたような傷があったし、左腕にもバッサリ切られたような痕が見えた。
火傷の治療をした時は無我夢中で、気にも止めなかったけど。
他にも、いくつか痕があって…………
一体どうしてそんな傷痕ができたんだろう。
IT会社の若き社長というだけでは、あり得ないたくさんの傷に目が離せなくなって。
気がついたら、彼の一番大きな傷痕に無意識に指先でそっと触れていた。
どうして、だろう。
胸が痛い。
彼の痛みを想像しただけで、自然と涙がぽろりと眺めた。
「…………怖くないのか?」
「えっ?」
真宮さんに出された言葉の意味が理解できなくて、彼の顔を見ようとするけど。先生の方を向いていて、どんな表情で言ったのかがわからない。